|
平成18年8月6~11日の6日間、第11回IUPAC農薬化学国際会議が神戸国際会議場と神戸ポートピアホテルで開催された。この会議は4年に1度開かれる農薬化学に関する世界会議で1982年に京都で第5回会議が開催されており、今回24年ぶりの日本開催となった。開催直前の集計で参加登録者は世界66カ国から1,161名を数えていたが、会議後の集計では52カ国から1,221名となり、同伴者、スポット参加者、商業展示とランチョン・イブニングセミナー関係者、日本語による消費者向けのオープンセミナー参加者、運営スタッフを加えた参加者・関係者の総数は2,000名を越えた。開会式に引き続き、Dr.J.C.Collinsの基調講演「作物保護の化学・未来への挑戦」で幕を開けた本会議は、毎朝1題、計4題の特別講演のほか、20セッション200題の講演に加えて、約600題のポスター発表が行われた。ポスター発表の中から約80題が選抜され15のセレクテットポスターワークショップに分かれて口頭による発表も行われた。また、従来この国際会議では実施されなかったランチョン・イブニングセミナーが28件も開催された。注目を集めたセミナーでは前日午後には入場整理券(弁当引換券)がなくなり、その他のセミナーでも開始前までにはほとんどがなくなった。弁当を食べ終えて席を立つ参加者は皆無に近く、各セミナー会場は講演会場と同様に活況を呈した。ランチョン・イブニングセミナーには農薬関連企業はもとより、IUPAC,FAO、USDA,日本農薬学会、中国農薬学会、韓国農薬学会からの協賛があった。
新しい試みとして、世界の主要な農薬企業の研究所長が一堂に会しての討論会:リサーチダイレククーフォーラムが開催された。これには、BASF社、バイエル社、ダウ社、デュポン社、石原産業(株)、住友化学(株)およびシンジェンタ社からの参加があり、講演と討議がなされた。今年5月末に施行された残留農薬の「ポジティブリスト制度」に関する特別ワークショップや本会議ではこれまで議題として取り上げてこられなかったベクターコントロールに関してのワークショップも開催された。日本農薬学会が主催した残留農薬分析セミナーでも「ポジティブリスト制度」が取り上げられ分析精度などについて活発な議論がなされた。また、食の安全と農薬の安全性や必要性の啓蒙を目的とした農薬工業会主催の「北野大さんの、ちゃんと知らなきゃ!!農薬ゼミ」がオープンセミナーとして会議期間中に開催され、消費者300名を含め、400名が参加した。会議参加者には毎朝、会議場内外とインフォメーションセンターで、前日の行事の要約や会議に関連した諸々の情報が掲載された「神戸ガゼット」が計5号配布された。このガゼットについては後日追加発行された6号を含め、日本農薬学会ホームページ:http://wwwsoc.nii.
ac.jp/pssj2/で閲覧できる。ポスター展示は講演会場となった国際会議場に隣接した神戸ポートピアホテルの大輪田で行われた。会議4日間、ポスターの張替無しとし、ポスター発表者には会議3日間のうちの1日の1時半から1時間のポスター前での質疑応答が義務付けられていて、参加者への便宜が払われていた。商業展示ブースは国際会議場の講演会場付近とポスター会場の中央に合計48件設けられていた。農薬関連企業、コントラクトラボ、機器分析メーカー、試薬メーカーや書籍の出展があった。また、IUPAC,ACS、日本農薬学会など関連学術団体の参加もあり、過去のIUPAC会議では見られなかったほどの盛況さであった。閉会式ではポスター賞12件の贈呈が行われた。金賞の3件にはIUPACポスター賞も授与された。また、本会議の準備から実施にいたるまで大きな役割を果たしてきた上山功夫、佐々木満の両氏と日本農薬学会(会長:梅津憲治氏)にIUPACから感謝状が授与された。その後、梅津氏が本会議の実施運営に携わったスタッフ全員の名前を呼びあげステージに招いて謝意を表すとともに、全参加者とともに会議の成功の喜びを分かち合い、5日間の会議の幕を閉じた。なお、6日目にはエクスカーションが行われ、日本農薬研究所、島津製作所、スプリングエイトがある理研播磨研究所などを見学した。次回12回会議は2010年7月にメルボルンで開催が予定されている。(*神戸大学大学院自然科学研究科)
|